ベンチャーキャピタルで英語力が必須かどうかは、VCごと、担当投資先ごとに異なります。国内スタートアップ中心なら英語が歓迎要件にとどまることがある一方、海外投資や海外拠点との連携を担うポジションではビジネス英語が明確な必須条件になる例があります。
したがって、「VCに行くならTOEIC○点が絶対必要」と一律に考えるのは適切ではありません。英語を使う対象が、海外スタートアップなのか、LP投資家なのか、技術調査なのか、社内会議なのかまで確認する必要があります。
現行求人でも英語要件には大きな差がある
コトラ掲載の大手ベンチャーキャピタル求人では、戦略コンサル、新規事業、経営企画などの経験を必須候補としながら、ビジネスレベルの英語力を「歓迎要件」とする例があります。
一方、大手金融グループ系VCの別求人では、仕事上の英語での読み書き・コミュニケーションに支障がないビジネスレベル、TOEIC800点を目処とする条件が示されています。
この差から分かるのは、英語力そのものより「そのVCの投資活動で英語がどれだけ中核業務になっているか」が重要だということです。
英語が必要になりやすいVC業務
海外スタートアップのソーシング
海外の投資候補を探す場合、創業者との初回面談、ピッチ資料、競合調査、現地市場の情報収集を英語で行います。通訳を前提にすると情報取得の速度が落ちるため、自分で一次情報へアクセスできる方が有利です。
デューデリジェンス
海外企業への投資では、事業計画、契約、財務資料、技術情報などを英語で確認する場面があります。単に読めるだけでなく、曖昧な点を質問し、リスクを確認できる力が必要です。
投資後の成長支援
海外展開支援や海外企業との提携を進めるVCでは、投資先経営者と一緒に海外パートナーへ提案することがあります。コトラの現行求人にも、投資から成長支援、海外展開支援まで担うベンチャーキャピタリスト職があります。
グローバル投資チームとの連携
海外拠点を持つVCやクロスボーダーファンドでは、社内会議、投資委員会、案件共有が英語になることがあります。ここでは会話力だけでなく、投資仮説を短く論理的に説明する力が重要です。
国内VCなら英語がなくても転職できるのか
国内中心のVCで、英語を必須としていない求人はあります。そのため、英語が得意でないことだけを理由にVC全体を候補から外す必要はありません。
ただし、VCの仕事は将来の産業や技術を扱います。国内投資でも、海外企業の事例、英語論文、海外市場データを参照することがあります。選考条件に英語がなくても、英語の一次情報へアクセスできる能力は投資判断の幅を広げると考えた方がよいでしょう。
英語を含む日々の業務負荷を確認したい場合は、ベンチャーキャピタリストの働き方も参考になります。
TOEICより先に確認したい5つの実務
求人票で英語要件を見るときは、点数だけでなく次を確認しましょう。
- 海外投資の比率はどの程度か
- 海外創業者と直接面談するか
- 英文契約・財務資料を自分で読むか
- 海外拠点との投資委員会があるか
- 投資先の海外展開支援を担当するか
同じTOEIC800点でも、資料を読むだけの仕事と、創業者と投資条件を交渉する仕事では必要なスキルが違います。
VC転職に向けて英語を伸ばすなら「投資業務」で練習する
一般的な英会話だけでなく、VCの実務に寄せると効率的です。
- 海外スタートアップのピッチ資料を要約する
- 英語で投資メモを1ページ作る
- 海外競合を3社比較する
- 創業者への質問を英語で作る
- 投資委員会を想定して3分で案件を説明する
こうした練習なら、語学と同時に投資判断の型も身につけられます。
英語力だけではVCに転職できない
英語は重要な武器ですが、VC採用では英語だけでなく、投資候補の発掘、事業性評価、財務・市場分析、経営者との関係構築、投資後支援などが見られます。
英語が強くても投資仮説を作れなければ不十分です。逆に英語が発展途上でも、特定産業の深い知識や新規事業経験、投資・M&A経験が強ければ、英語が歓迎要件のポジションから狙える可能性があります。
未経験・若手からVCへ入る入口を確認したい場合は、VCの新卒採用も参考になります。転職後の広がりまで見るなら、VCのキャリアパスも確認できます。
英語要件は「VC業界」ではなく求人ごとに判断する
ベンチャーキャピタルに一律の英語基準はありません。国内投資中心なら歓迎要件にとどまる求人がある一方、海外投資を担う職種ではビジネス英語が必須になる例があります。
自分の英語力と投資・事業経験で、どのVCポジションが現実的に狙えるか確認したい場合は、コトラの転職支援サービスで専門コンサルタントに相談できます。点数だけでなく、実際に英語を使う場面まで求人ごとに比較することが重要です。